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TOYOTAのウーブン・シティが今年2024年に第一期施設の建設を終え、2025年にかけて一部実証実験が開始されるとのことです。
ウーブン・シティってなんなんだと、そんなもの作って何になるんだと、私達にはあまり遠く理解が及びにくいこのウーブン・シティ。
一体、何のために作られたのか、そして今後どうなっていくのかを少し考えてみたいと思います。
ウーブン・シティ概要と背景
富士山の麓、静岡県裾野市に『幸せの量産』をスローガンに掲げて建設中のトヨタ、ウーブン・シティ。
東富士工場からウーブン・シティへ
元々、静岡県裾野市にはトヨタ自動車東日本東富士工場という約50年も続いてきた自動車組み立て工場がありました。
転機となったのは、2011年に起きた東日本大震災です。東北の雇用創出や納税によってトヨタは東北の復興を支えようと、東北地方に工場設立を決めました。そして2020年に、その計画を実行するために、東富士工場が閉鎖されるということになったのです。
ウーブン・シティは、そんな東富士工場の跡地に造られます。
完成後の広さは東京ドーム約15個分の広さを誇ります。
初期の居住予定人数は360人。将来は2000人の居住を予定しているとのことです。始めはトヨタの従業員や関係者が居住し、その後、研究開発者や一般の高齢者の方、お子さんのいるご家族の方などにも居住してもらう予定とのことです。
トヨタの研究開発の一貫
トヨタの2023年3月通期の連結決算は売上高37兆円、純利益が2兆7000億円です。2024年の今期はさらに売上・純利益ともにさらに増えることが予想されます。
ウーブン・シティへは約1000億円もの巨額な投資がされており、一部のジャーナリストからは失敗じゃないかとか、負債が出ているなどと言われていますが、トヨタのこの膨大な利益からすれば、全く問題のないことではないかと私は思います。
トヨタのウーブン・シティの運営は決して、その街作りで利益を出すことが目的ではなく、あくまで研究開発の一貫として行われるものだと推測することが出来るでしょう。
日本のトップであるトヨタの年間の研究開発費は約1兆円、世界的な大企業のアマゾンの研究開発費2022年度で10兆円(売上高約80兆円、トヨタの2倍)だというのと比べると、まだ全然少ない部類です。ライバルのフォルクスワーゲンですら、トヨタの2倍近い金額を研究開発費に費やしています。
こうした研究開発で世界と闘うためには、寧ろトヨタがウーブン・シティ計画を行うのは妥当なことでないでしょうか?世界と比べて、これぐらいのこと、いやもっと大胆に打って出なければ生き残っていけないのではないでしょうか?
Googleのスマートシティー計画の失敗
数年前にグーグルがカナダトロントにて同じようなスマートシティ計画をやろうとしました。
しかし、Googleの計画は失敗に終わりました。その時は地元住民の反対が大きかったと言われています。グーグルはアメリカの企業でありますし、国が違うカナダ・トロントの住民感情からすれば実験台にされたくないとの思いも強かったのではないでしょうか。
しかし、今回トヨタがやろうとしているウーブン・シティは、日本企業の代表として日本の地で、しかも50年以上も実際に自動車組立工場を稼働していた土地で地元住民からの信頼も厚い。
日本を代表する企業が、日本を代表する名山・富士山の麓で行うことですから、日本全国の人達も協力し応援してくれるに違いありません。
それでは、どのようなことが計画されているのか見ていきましょう。
ウーブン・シティにおける画期的な実証実験
4種類の道路
ウーブン・シティのサイトを見ていくと、私が一番目に止まったのが道路の作り方です。
物凄く画期的だなと思いました。
地上には3種類の道路を造ります。それぞれ人・車・パーソナルモビリティ(低速移動の乗り物)が走っており、それぞれに分けられているという点がとても重要です。
それによって事故のない安全な移動を実現しようという実験が行われていくということ、日々の当たり前から変えていく壮大な実験の1つです。
もう一つは、地下にも道路が作られるという点です。これが最も画期的で、地下に造られる道路は物を運ぶための道路ということです。
この物を運ぶための乗り物と、人を運ぶ乗り物を地上と地下で分ける試みは素晴らしいですよね。
現代では、全てがごちゃまぜ。
トラックが走る前には軽自動車が走り、横断歩道を横切る人や自転車走り、道路は錯綜しています。トラックの上からでは見通しがつかなくて交通事故が起きるのもしばしば。考えれば凄く危険な状態です。
ウーブン・シティとは、こういう根本的な部分から街作りが考え直されていることに好感が持てるなと、素人ながらに感心しました。
カーボンニュートラルの実現
そして、このウーブン・シティではトヨタとENEOSが協力して、CO2フリーの水素ステーションを建設するということです。CO2フリーの水素燃料とは、再生可能エネルギーを使って水電解装置と呼ばれる機械で作られるとてもクリーンな水素のことです。
色々言われておりますが、水素社会の実現というのはおそらくトヨタが、超長期的な目線で計画していることではないでしょうか?
現在の流れでは、これから先は電気自動車が広まっていくと予想されますが、もっと先の未来のことを考えれば、電気自動車のバッテリーの充電の時間や、劣化したバッテリー自体のゴミの問題など様々な事柄が出てくる可能性もあります。ですから、トヨタが考える水素燃料というのはあながちありえない話ではないように思えます。見据える先は、その後の燃料。それに水素をという考えでもって、どこよりも早く今から開発をしているのではないでしょうか?
食への取り組み
このウーブン・シティ、ただ乗り物や街の利便性といった分野の研究だけではありません。
2022年4月26日に、トヨタとカップヌードルでお馴染みの日清食品が協力を発表しました。
ウーブン・シティに住む人へ、「完全栄養食」を提供していくということです。美味しくて栄養のあるものを食べてもらうことで、健康長寿、いつまでも好きなことを好きなだけやれる、そんな社会を目指そうという目的でこのような取り組みが行われるということてあります。
私達は何を食べるのも自分の自由ですが、これはどのような形で提供されるのでしょうか?
日清食品の完全栄養食とはどういうものなのでしょうか?
こちらをご覧ください↓
見てみますと、この日清食品が研究開発している完全栄養食、私達の遥か想像を超えるもののようです。
映像に出てまいりましたが、同じトンカツ定食であるにもかかわらず、カロリーが半分で、しかもそれ以上に栄養はあるとのこと。
つまり、好きなものを好きなだけ食べても太らないし病気にもなりにくいという夢のようなものが研究開発されています。
さらに個人個人のデータによって、居住者のその時々の健康状態のために必要な食事を提供していくとのことです。
なにやら凄い実証実験の取り組みが計画されておりますね。
開発者を支援
さらに、もう一つ大きなことが、開発者への支援です。このウーブン・シティは将来沢山の開発者を受け入れるといわれていますが、その開発者の商品開発にこのウーブン・シティが全面的にバックアップするということ。フィードバックや様々な知見の共有を通してソフトウェア・ハードウェアの開発を支援し、また実証実験の場を提供し実際に使ってみて問題点を改善していくことができる、さらにウーブン・シティに住む開発者同士で共に想像する共想コミニティなるものを通じて開発をより拡げていくことができます。
開発者にとってこの上ない環境がこのウーブン・シティには用意されるということで、トヨタのウーブン・シティに掛ける思いが本気であることが伺いしれます。
裾野市内中学校でのトヨタ出前授業から見えたウーブン・シティ像
こちらのYouTube動画は、2023年に裾野市内中学校で行われた、トヨタの出前授業です。この中で、トヨタが考えるウーブン・シティの未来というものが垣間見えた気がします。
授業では、「自分以外の誰かの為にやってみたいこと」が、テーマとされていました。子供達はじめ、その場にいる人達皆が、そのことについて考えて、互いに発表している姿には少し感動すらしてしまいました。
私はその時、「ああ、トヨタが考えていることというのは、こういうことなのだ」と、この動画の様子を見ることでハッキリと、トヨタの考えていることを理解することができました。
おそらく、ウーブン・シティという、まだ朧気にしか見えないプロジェクトは、それを実現することで、形つくられていくのだと思います。「自分以外の誰かのためにやってみたいこと」、それを実際にやる場所が、トヨタウーブン・シティなのです。
まとめ
トヨタを中心に日本を代表する企業や開発者が集まって、とても良い環境で研究開発をしていく、そんな日本の研究開発の土台が出来ようとしています。
その夢のような環境がウーブン・シティです。
果たしてこれから10年、20年先の未来に、どういう形で日本社会に還元されていくのでしょうか?
長い目で楽しみに見守っていきましょう。