ユリブロ

目指せ奇跡の50代、遅咲き男の娘ユリのブログ。略して『ユリブロ』

 

小説家になりたい!

いつか小説の単行本を出すのが夢です。出版社の方、是非お声がけくださいませ。

短編小説「ずっとあなたの側にいられない」〜第6話

日本の将来 この日、幸子と吉彦は同僚の矢島とその妻朋子を家に招いた。 二人がこの家にやって来て4人が揃うのは三月に一回程度のことで、決まって焼き肉を焼いて食べながら話しをした。 行きつけの精肉店で肉を準備してくる矢島夫婦を待つ間に、吉彦達は焼…

短編小説「ずっとあなたの側に居てあげられない」〜第5話

夏の花火大会 真夏の夕暮れ時、人混みが大の苦手な幸子の手を引いて吉彦は土手を歩く。 ドテラから見下ろせば、河川敷には前も後ろも右も左も先の方まで人で埋め尽くされていた。 河川敷で開かれる夏の花火大会。 予約席までの道のりは、夏の蒸し暑さと人の…

短編小説〜「ずっとあなたの側に居てあげられない」第4話

心休まる人という皮肉 「先輩、今日は嫌なことがあったんで一杯付き合ってくれませんか?」 矢島が吉彦を帰りに誘う常套句である。 焼き場からは香ばしい薫りが立ち込めて、店内は焼鳥の美味しそうな匂いで溢れていた。 コの字になっているカウンターからは…

短編小説〜「ずっとあなたのそばに居てあげられない」第3話

幸子と吉彦の出会い 「ただいま〜」 周りは何処の家も寝静まろうとしている中、玄関の扉が開いたのは夜の11時過ぎである。 週に一度は、幸子がこうして日頃の鬱憤を吐き出すように、一頻り遊んで帰って来ることが夫婦間では通例のこと。 「何か食べてきたか…

短編小説〜「ずっとあなたの側に居てあげられない」第2話

幸子と朋子のアフタヌーンティー 幸子が朋子といつものようにアフタヌーンティーに出掛けた。二人の行き先は、街の高級なシティーホテルの高層階にあるカフェレストラン。 日頃味わうことのできない贅沢で優雅な空気を味わいながら会を楽しのである。 お決ま…

短編小説〜「ずっとあなたの側に居てあげられない」第1話

ずっとあなたの側にいてあげられない 暖かな日差しが戻った朝と昼との間の静かな隙間、吉彦はまだ眠気の醒めない中にいて、まだ体の端々に残る気怠さに身を委ねていた。 カーテンの少しの隙間からでも明るい日差しが差し込んで、無邪気に自慢する子供のよう…