ロストジェネレーション
1970年〜1984年までに生まれた人のこと、たまにロストジェネレーション世代なんて呼ばれることがありますが。
実は私もその1人なのです。
ロストジェネレーション世代だから他の世代と比較して恵まれなかったと言われていますけど、私はそれなりに幸せを感じていますし、恨んだりしているというわけではありません。
でもたまに、深く考えると不公平感は否めないなとは思うときがあって、もしもそうじゃなければ違う世界線もあり得たのかなと思ったりもします。
今日は、そのロストジェネレーションの現状を、自分の経験を踏まえながら述べていきたいと思います。
1990年代初頭、バブル経済が崩壊し、1990年代後半から、消費税増税などをきっかけとして長引く不況に突入した時代、そんな時代に私達は、高校や大学を卒業して社会に出ていきました。
その時のことをよく覚えています。
4年生大学を出て就職活動を始めた頃、とてもじゃありませんが、就職できるとは思えないほどの買い手市場でした。
就職説明会に何度も足を運び面接も何度もしましたが、採用人数の狭き門に、私はとても就職に受かる気配を感じられませんでした。
企業の採用率が低く、しかも私達の世代は団塊ジュニアということで人数も多く競争も激しい、狭い入口へものすごい人の競争です。
その競争に勝てなかったといえばそれまでですが、
私のように途中で、諦めた人も多くいたと思います。
派遣労働の始まり
そんな中、ある新しい働き方が生まれました。
ちょうど、私が大学を卒業したのは、小泉政権時代です。
私が飛びついたのは、小泉内閣が推し進めた
“派遣社員”
という目新しい働き方でした。
何十倍もの倍率をくぐり抜けるしんどさとは反対に、派遣社員というのは間口が広く、派遣会社の担当者が企業と派遣社員との間を取り持ってくれ、とても働き始めがしやすいというシステムに、当時就職というものに疲れ果ていた私達は、吸い込まれるようにして入っていったと記憶しています。
今でさえ派遣会社というのは当たり前に存在していますが、当時は出てきたばかりで、この働き方のデメリットについて、何も思いを抱きませんでしたが、今振り返ると沢山の問題点があったように思います。
派遣労働の問題点
①教育の遅れ
ロストジェネレーションの問題点として、まずは教育の遅れをあげたいと思います。ロスジェネ世代は高校や大学を卒業後、正社員として就職できない人が多かったことから、社会人としての新人研修を受ける機会を失っているケースが考えられます。
私の経験上、派遣労働ではそういった教育を受ける機会はなく、社会人としての基本やマナー、当たり前のことを学ぶ機会が全くありませんでした。
むしろ私達派遣会社の人間には、契約上、派遣先の会社の人間が直接教えてはいけないという決まりがあって、はっきりと正社員と派遣社員は区別されていたように思います。
我々には罪はなく、始まったばかりの派遣労働という仕組みはまだ不十分で、社会に出たばかりの私達がそういう事に巻き込まれてしまったのは、不運でしかありません。
それら教育の問題は、世代の1つのコンプレックスになっていて、人生に遅れを取る人や、躓く人が出てくる原因でもあると考えられます。
②収入の格差
ロストジェネレーション世代で正社員になれなかった人達は、昇給や賞与という正社員では当たり前のものとは縁遠いものです。
長い目で見れば、相当な額の収入の格差を生んでいるでしょう。また、当時、派遣労働に従事した人の殆どは、社会保険未加入であったと記憶しています。
義務化されたのは十数年後のことです。若くてそういうことに疎かった私が、この時払っていなかった年金の期間的なダメージはかなり大きいものになりました。
一生懸命に働いていたのにもかかわらず、将来に向けての保険が何も進んでいなかったということです。
そうした、収入格差と将来受け取れる年金額の格差を生んでおり、多くの人が老後までをも、他の世代に比べて恵まれない現状が確かに存在していると思います。
その上、将来デフレを脱却してインフレに向かうであろう日本において、汗水たらして貯めた私達の微々たる貯金の価値は目減りしてしまうことも考えられます。
とても世の中に出てきたタイミングが悪すぎて、何もかも悪循環に嵌ってしまっているのです。
とことんお金にツキがない世代なのです。
政府の対応
そうした現状に対し、数年前からようやく政府が重い腰を上げ、ロストジェネレーション世代の支援策として、“就職氷河期世代支援プログラム”なるものを始めました。
私も2年ほど前に、就職氷河期世代採用公務員試験というものを試しに受験してみましたが、これも一筋縄ではいきません。
何せ倍率がとんでもなく、
平均で20倍以上、私が受けた地域の市役所の職員採用試験では、40〜50倍もありました。
大学を出たての当時のことがまた思い出されました。枠が少ないことに加えて、やはり世代の人口が多いのです。
どうしようもありません。
希望はある
しかし、これだけ恵まれない現状のロストジェネレーション世代ですが、私は希望はあると思っています。
それは、
このような厳しい環境の中で、自立を促された経験をしていることから、他の世代よりも優秀な人材が非常に多いということです。
団塊ジュニアとして、人口が多く競争が激しかったこと。さらに不景気によって、その競争に拍車がかかった中で、生まれた超スーパースター達が沢山います。
まず、
イチローさん
松井秀喜さん
中田英寿さん
小野伸二さん
中村俊輔さん
SMAPさん
ひろゆきさんに、ホリエモンさんに、私が思いつくだけでも、これだけの人がおられます。やはり、恵まれなかった現状と、厳しい競争環境の中を自分の力で生き抜いてきた凄い人達がいるなと思います。
少し頑固で癖のある人が多い印象が強い気がしますが、そういう人だからこそ、この世代を生き抜いてこれだということでしょう。
そして、これからはこういう人達が、世の中を引っ張っていっていく段階に入っていると思いますし、その何モノにもとらわれないような強い生き方が、日本を良くしてくれるに違いありません。
そして、SNSなどからの発信によって、世間の新しい風潮を形作り、少しずつですが空気の入れ替えをしてくれているように思います。
私達も彼らに負けないように頑張って、まだまだ残りの人生、希望を持ってやっていきたいと思います。
今の世の中を変えられるのは、年老いた政治家などではなく、一番苦労してきたこの世代の人達に違いないと私は思います。