「命という風船」
命はとても軽い。
命は何もしなければ、空へと飛んでいってしまう。
命とはとてもとても質量の軽いものである。
今我々はどこへ行くにも命という風船を持っている。
とても大切そうに手に持っている。
小さな子供が風船を持つように。
ふとした事で風船が飛んでいってしまわぬように。
皆が周りで見てくれている。
それが生きるということである。
早く逝く人も、逝かない人も、それはただ風船を持つ手が離れたにすぎない。
命は空へと飛んでいったのだ。
風船が飛んでしまわぬように手に握りしめ
重しとなるものは、時に地にへばりつくほどの強情さである。
負けてはならぬと満身創痍で何度も立ち上がるボクサーのように。
殴られても殴られても、何度も何度も立ち上がって闘うように。
命という風船が、誰も知らないどこか遠くへと飛んでいってしまわぬように。
女装子ゆり